| 開催日 | 2026年6月20日 |
|---|---|
| 会場 | 灘中学校・高等学校(土曜講座 1・2限) |
| 参加者 | 灘中学校・高等学校の希望生徒(中学2年〜高校2年、土曜講座参加者) |
| 利用テクスト | 事前課題『ジブンの世界はジンブンでできている』/講師作成のスライド(「灘生」「フィクション」「芸術」の概念分析、フィクションのパラドックス) |
灘高校土曜講座での分析哲学ワークショップ(2026年6月)
現役の哲学研究者と、概念分析とパラドックスという分析哲学の方法を手を動かして体験する講座。
灘校土曜講座で、分析哲学を体験する講座「君の『当たり前』を解体する:分析哲学×パラドックス体験講座」を90分×2コマで実施しました。講師には、『ジブンの世界はジンブンでできている』の著者の一人で、英語圏の美学でフィクションを研究する岡田進之介さん(国立情報学研究所 特任研究員)を迎え、受講する生徒には同書を事前課題として読んできてもらいました。はじめに原田が会社と「ジンブン学をジブンごとに」という考え方を紹介し、岡田さんが哲学研究者の仕事と、哲学的な問いの立て方、分析哲学の方法を説明したうえで、生徒が自分たちで手を動かすワークショップに入りました。最後に原田が、知識を受け取るだけでなく自分で考えることが人文学を「動詞」にすることだと振り返り、身の回りの「当たり前」に問いを立て続けるための道具として本を紹介しました。
ワークショップの進め方
哲学的な問いを見分ける
「運動は健康に良いのか」と「『健康』とはどのような状態か」のように、調査や実験で答える経験的な問いと、哲学の方法で考える哲学的な問いの違いを確かめる。
「灘生」で概念分析を練習する
当てはまるメンバー(外延)から、メンバーに共通する性質(内包)を探し、過不足のない必要十分条件を見つける。「この教室にいる十代」では狭すぎ、「灘魂を持っている」では曖昧、といった失敗例も検討する。
「フィクション」を定義する
小説・演劇・映画はフィクションで、伝記・歴史書・化学の教科書はそうではない。両者を分ける条件をグループで考え、「シャーロック・ホームズは探偵である」のような虚構文と、現実世界に関する文の違いを議論する。
パラドックスで概念を試す
文部科学省で芸術支援を担当する官僚になったつもりで、哲学者からの「あなたの言う『芸術』とは何ですか」という問いに答える。さらに、実在しないと分かっている『リング』の貞子をなぜ怖がれるのかという「フィクションのパラドックス」を考える。
実践結果
講座後の出席票には、概念分析やパラドックスの議論が面白かったという感想が多く寄せられました。自分の直観と他人の直観の違いに驚いた生徒や、哲学は実生活と関係がないと思っていたが、概念は日常に根ざしていると分かったという生徒がいました。一方で、直観に頼る方法そのものを疑う意見や、作り手の立場から分析するとうまくいかないのはなぜかという新しい問いも出ました。講座で扱った方法を使って、講座の内容そのものに問いを向ける感想が出たのが今回の特徴です。

